楽曲のタグづけに関する補足説明
むかし、楽曲に関するデータベース・アプリケーションを作成したことがあります.
そのアプリケーションはさまざまな課題を残したので、結局公開はできずに終わりましたが、そこでは、
正規化されたデータベース・テーブル群を用意して、アルバムや作曲家、演奏者を管理していました。
時代が変わって、楽曲に関する情報は、データベースで集中管理するのではなく、
その楽曲のファイル自身にタグデータ(メタデータとも言う)として持たせるようになりました。
TuneBrowserは、そのタグデータを管理するアプリケーションですが、
タグデータ自身はさまざまなアプリケーションでも読まれることになるので、
汎用性を維持しつつ、管理したい内容に合わせて、工夫をしていくことになります.
これが簡単そうで、なかなかむずかしい(^_^;.
ここでは、そうしたタグづけの工夫についてご紹介します.
なおここでご紹介する内容は、TuneBrowserを使うにあたって「こうでなければならない」というものではありません.
あくまでも工夫をする上での一例です.
ひとつのタグに、複数の値を入れる
どこでこの使い方がはじまったのか、正確なところはわかりません. わたし自身は foobar2000 で、このやり方を知りました.
TuneBrowserでも、この方法をサポートしています. 値を "; " で区切ることで、複数の値を設定する方法です.
これが一般的になったことで、タグで楽曲のデータを管理することが現実的になった、と言っても過言ではないと思います.
とくに、PERFORMER, GENRE については、楽曲を管理する上では複数値の設定がポイントになります.
ジャンルは、単に「Classical」だけでは分類として物足りません. さらに「Russian」や「Orchestral」「Piano」など、
その楽曲の属性を定義していくことで、多彩な分類ができるようになります.
自分が標準で使用するタグを、すこし広げて、そして決める
TuneBrowserでは、楽曲のプロパティを表示させた場合に、標準で表示する項目(タグ)をすこし多めに定義しています (この定義は設定で変更できます).
Edition, Composer, Performer, Publisher などです (日付類も3種類定義していますが、これは下項で説明しています).
かならずしもこれに従う必要はありませんが、なんでも Artist, Album, Title だけで管理するとなると、雑多な情報が入ることになるので、
ちょっと大変かもしれません.
楽曲の日付は1種類ではない
ひとつの音源には、さまざまな日付があります. 録音日、リリース日、購入日、等々です.
これを Date ひとつで管理するのは無理があります.
TuneBrowserでは、事前に録音日、リリース日、購入日、エンコード日の4種類を定義しています.
詳細は
こちらを参照してください.
TITLE にはすべてを書いておく
冒頭に書いた通り、タグによるデータの管理のポイントは、1曲にその楽曲に関するすべての情報を書いておく、というのが基本となります.
たまに、freedb などで落としてきたデータには、
- Symphony No.2 in D major, op.73: I. Allegro non troppo
- II. Adagio non troppo
- III. Allegretto grazioso
- IV. Allegro con spirito
とするケースが見受けられますが、これでは2トラック目だけ再生したときに、何の曲かわからなくなります.
ここは、以下のようにしておくのが無難です.
- Symphony No.2 in D major, op.73: I. Allegro non troppo
- Symphony No.2 in D major, op.73: II. Adagio non troppo
- Symphony No.2 in D major, op.73: III. Allegretto grazioso
- Symphony No.2 in D major, op.73: IV. Allegro con spirito
コンテンツグループを活用する
コンテンツグループは、使い方は明確には決まっていませんが、楽曲のグループ情報を記述するタグです.
FLAC では
CONTENT GROUP、MP3などで使用されているID3v2では
TIT1になります (
TITLEは
TIT2).
TuneBrowserでは、
_CONTGROUP/
_CONTGROUP2を使用して、楽曲のグループ情報を以下のように取り出せるようにしています.
- CONTENT GROUPが定義されていれば、その値.
- TITLEを解析して、 ": " で区切られたところがあれば、その手前までを返す (": "の部分は設定で変更することができます).
これにより、上の例の楽曲の場合は、
- Symphony No.2 in D major, op.73: I. Allegro non troppo
- Symphony No.2 in D major, op.73: II. Adagio non troppo
- Symphony No.2 in D major, op.73: III. Allegretto grazioso
- Symphony No.2 in D major, op.73: IV. Allegro con spirito
ですから、
Symphony No.2 in D major, op.73 までを
CONTENT GROUPとして取り出すことができます.
もちろん、あらかじめ
CONTENT GROUPを定義しておいても良いです。
これを活用することで、本来の楽曲名と、ファイルのトラック情報を分けて管理することができるようになります.
演奏者が変わっても、楽曲が同じであればTITLEも同じ
いまさら言うまでもありませんが、Brahms の "Symphony No.2 in D major, op.73" は、
たとえ誰が演奏したとしても、 作曲者も曲のタイトルも同じです。
特にクラシック音楽の場合、同じ楽曲で、演奏者の異なる演奏がたくさん溜まってきます。
このことをうまく利用すると、タグの管理は楽になります。
TuneBrowserでは、複数の楽曲を選択して、プロパティを表示させることで、まとめて同じ値に編集することができます.
アルバムビューに表示されているトラックを選択して、Ctrl+Cを押すと、標準ではTITLEをコピーすることができますので、
すでにある同じ楽曲をコピーして、新しい楽曲のプロパティから貼り付けると、簡単に設定することができます.
さらに、作曲者名や演奏者名など、プロパティで編集を開始すると、下にデータベースの内容から既存のデータを抽出し、候補を表示します。
これを選択することで、すべてを入力する必要もなくなり、さらに表記の揺れを防ぐこともできます。
たくさん楽曲がたまってくると、入力はどんどん楽になります.
人名は、姓,名の順に統一してみる
タグデータからの値の取り出しは、先頭から取り出すのが楽です.
いっぽう、人名については、まず第一にその人物を特定できるのは、やはり姓です. 姓が同じであれば、次に名が重要になります.
順番に並べたい場合でも、姓で並べたほうがわかりやすいです.
TuneBrowserでは、
クエリで名前を処理するいくつかのオプションを提供していますが、そうした場合でも、"姓, 名"の順に書かれていたほうが、
なにかと扱いが楽です.